本DVDの特徴と推薦のことば
平成26年改正会社法の施行(本年5月1日)を前に、法務省の立案担当官による専門誌での解説を始め、多くの解説記事、また解説書が出版されている。本DVDは、そういった中にあって、ひときわ異彩を放つものといえよう。
本DVDの特徴は、まず、DVDという媒体を使って改正会社法の実務対応の解説を試みた点にある。今日、電子書籍化は珍しくないが、本DVDは、改正会社法の実務対応をセミナーというかたちで収録している。改正会社法に関連して、盛んにセミナーが行われており、多くの実務家がセミナーへと足を向けている。多くの優れた解説記事や解説書があるにもかかわらず、セミナーへと足を向けさせるのは、セミナーが持つ耳学問の心地よさとともに、演者それぞれのメリハリの利いた生の解説に接したいということにあるものと思われる。本DVDは、これに応えたものである。
本DVDは、あたかも聴衆を前にして解説し、反応をみながらスライドを操作しているようにみえるが、実際のセミナーをそのまま収録しているわけではない。あくまで、DVDに収録するために行われたものである。そのため、一般のセミナーにありがちな、一過性かつ断片的な知識の収集に終わってしまうといった欠点をも補っている。仮に精緻なメモと秘かに行う録音によってセミナーの内容を再現したとしても、セミナーそれ自体普遍的なものではない。もちろん演者にも拠るが、時と場所に合わせるということもセミナーの重要な要素の一つである。これに対し、本DVDは、時と場所を選ばず、かつ相手すら選ばない。演者をそのために招くことなく、役職員を対象として社内セミナーとして利用することができる。
本DVDのもう一つの特徴は、演者である葉玉弁護士ご自身のキャリアにある。本DVDをご覧になれば、その内容が、想像以上に体系的かつ精緻である点に気付かれるであろう。ご自身が平成17年に制定された会社法の立案担当官であったことはよく知られているところであるが、そのご経験が本DVDにも十分生かされている。その結果、本DVDを視聴すれば、立法趣旨を含めた改正会社法の全容を体系的に理解することができる。
また、ご自身のブログ「会社法であそぼ。」を通じて、会社法実務に対してあくなき関心を寄せられたこともよく知られているところであるが、その会社法実務に対する関心の高さが、その後の弁護士活動と相俟って、本DVDの実務対応としてのレベルを高めているように思われる。全編にわたり、ポイントというかたちで要点が整理されているばかりか、上場会社にとって関心が高い「コーポレートガバナンス・コード」についても解説と実務対応が示されており、実務対応を立体的に考えることができる。
本DVDは意欲的な試みであり、その試みはおおかた達成されている。ただ、改正会社法の実務対応はこれからが本番、6月総会に向けて新たな動きやこれに伴う新たな疑問が湧き出るものと思われる。このような疑問に対しても前向きに取り組んでいただくことを切に願う次第であるが、制作・販売会社によると、葉玉弁護士への個別質問を踏まえた追加レジュメの配付も予定されているというから、アフターケアも申し分ないといったところか。
コーポレート・プラクティス・パートナーズ株式会社
代表取締役 中 西 敏 和(なかにし・としかず)
東洋信託銀行証券代行部長、三菱UFJ信託銀行執行役員証券代行部長を経て現職。前同志社大学法学部教授。会社法務および実務に関する分析に広くかかわり、とりわけ法的視点を示しながら具体的な準備・運営を明らかにする株主総会指導について定評がある。論文・著書ほか、セミナー・講演会等多数。